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ヨーロッパ出張レポート【前編】

先月、フランス・パリで開催されたヨーロッパ最大級の国際食品見本市、SIALを見学してきました。世界各国のチーズが数多く展示されていましたので、その様子をレポートしたいと思います。その他フランス、イタリアの最新チーズマーケット事情やチーズ工場等、私たちの見てきたものをほんの一部ですがお届けいたします。

2016年10月16日(日) SIAL見学初日

朝、ホテルを出てSIALの会場になっているパリ郊外のノール・ヴィルパントへ。こちらは、近年行われているジャパン・エキスポの会場にもなった広大な展示会場です。会場は1~8号館まであり、まずは乳製品が集まる7号館を目指します。

エメンタールチーズ

入場後、スイスの大型チーズ、エメンタールのブースへ。1ホール100kgもある濃厚な風味の18ヶ月熟成品を味わいます。ここから試食スタート。



オランダのゴーダを扱うVANDERSTERRE社


ゴーダと一言で言っても香辛料入り、山羊乳製の変わり種など種類が豊富!イチオシはプリマドンナというゴーダで、ゴーダとパルミジャーノ・レッジャーノを足したような旨みが凝縮したおいしさです。10種類ぐらいのチーズをかわるがわる試食しました。




フランスrians

ひとくちタイプ。チョコレートのようなおしゃれな形状ですが、実はシェーブルのフレッシュチーズなんです。フランスはチーズもおしゃれだなぁ、と思わず感心。アペリティフ用だそうです。



オランダA-WARE社

切りたてのスモークチーズやゴーダをたっぷり味わいます。同じゴーダでも熟成が違うだけで味の印象がまるで変わるから不思議です。試食の旅は続く・・・



イタリアIGOR社


7号館を後にして、イタリア食材が揃う1号館へ。出張の後半で訪れるイタリアIGOR社を訪問します。クラッシュされた料理用ゴルゴンゾーラが紹介されていました。切る手間がなくて手も汚れず使いやすそう!



イタリアBiraghi社

初日の締めくくりは、イタリアBiraghi社。黄色のパッケージが目を引きます。グラン・ビラーギと言われるグラナ・パダーノタイプのカットチーズが売りで、イタリアのスーパーでよく見かけられるそう。リコッタやハードタイプのチーズ等いろんな種類を試食して、初日終了。



2016年10月17日(月) パリ市場調査


今日はパリ市内の市場を2ヶ所回ります。この日の最高気温は18度、やや曇り気味ですが寒すぎず、快適なお天気で絶好の市場調査日和です。

Auchan

最初にメトロに乗ってフランス大手スーパーの1つ、Auchanへ。チーズコーナーは通路を挟んで両面1列半の迫力!カマンベールは250gで1.5~2ユーロぐらい。安い!うらやましいですね。最近のトレンドはラクレットだそうで、種類が豊富で売り場も大きく設けられています。すでに棚が空っぽになって品切れしているラクレットもあって人気の高さがうかがえます。ちなみに、日本でもおなじみのシュレッドチーズ(とろけるチーズ)は、フランスではエメンタールがベースになっているものが大半です。日本では、塩味が程よくついたシュレッドチーズがメインですが、フランスでは少し甘めで塩味薄めが好まれるんですね。所変わればシュレッドチーズの味も変わって興味深いです。





Le Gourmet


2ヶ所目はパリの有名百貨店Galerries Lafayetteの地下にあるLe Gourmet。白を基調にした対面型のおしゃれな売場です。こちらは量り売りがメインですが、価格表示がキロ単位なことに驚き!日本ではグラム単位だから、思わず二度見してしまいました。きっとフランス人はキロ単位でも余裕で買っていくんですね~。さすがはチーズ大国。ハード・セミハードの他、フレッシュタイプやシェーブルなどの品揃えも充実しています。今日のおすすめは、今が旬のモン・ドールチーズでした。店員さんの作業着が職人っぽくてかっこいい。みんな忙しそうにカウンター内で作業していました。売り場のケースの上にドーム型の白いケーキのようなものが売られていて、とても気になったのですが聞きそびれてしまいました。ご存知の方、教えてください!





2016年10月18日(火) 再びSIAL見学


初日は試食に時間をかけて1か所ずつ見学しましたが、今日は2回目なのでランダムに気になったチーズをガンガン見ていきます。

パック品は日本ではあまり見ない色使いや、デザイン、形のものが多く並んでいて、今後の開発の参考になります。又、パック品の容量は日本のおよそ2倍~2.5倍。やはり日本の10倍近くチーズを食べるヨーロッパならではのサイズですね。試食のディスプレイも海外ならでは?ダイナミックでユニークなものをいくつか見かけました。ヨーロッパにはまだまだ多種多様なチーズがたくさんあり、日本で販売されているチーズはほんの一部だということを実感しました。来場者数に対して会場が広く、どこのブースでも商談が行われていてSIALはとても活気のある展示会でした。










2016年10月19日(水)


早朝、パリのリヨン駅からTGVでブルゴーニュに向かいます。今日はブルゴーニュワインの産地、ブロション村にあるチーズ工場の見学デーです。

Fromagerie Gaugry

今日訪れたFromagerie Gaugryは、3世代続く老舗のチーズ製造者で、エポワスやラミ・ドゥ・シャンベルタン、シャウルス、ブリヤ‐サヴァランといった有名なチーズを中心に製造しています。見学の時はちょうどGaugryオリジナルのウォッシュチーズを製造中でした。ショップには工房でできたチーズが多く販売されています。旅の途中で冷蔵が難しかったため購入は断念しましたが、記念に売場のチーズの写真をパチリ。





ワイナリー


その後、ブルゴーニュと言えばワイン!ということで、ワイナリーを訪問。途中、有名なロマネコンティのブドウ畑を眺めながら進みます。ワイナリーでは代表的なワインをいくつかテイスティングさせてもらいました。「さっきGaugryで売っていたチーズと一緒にテイスティングできれば最高なのになぁー」と思いました。




ボーヌの小さなレストラン


ランチはボーヌの小さなレストランで。午前中に見学したGaugryのチーズが多く置かれています。デザートの時に何種類かチョイスしてチーズプラトーを美味しく頂きました。肝心のチーズプラトーの写真だけ取り忘れてしまいましたが(失敗・・・)、お料理も良い味でした。





慌ただしく日程を終え、帰りのTGVに乗り込みパリに着いた頃にはすっかり陽が落ちていて、あっという間の1日でした。明日はパリからイタリアのミラノへ移動します(後編へつづきます)。


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