モッツァレラチーズ製造実習レポート
ミルキーな味わいともちもちとした弾力、そして加熱した時の糸引きの良さが魅力のチーズ、モッツァレラ。この不思議な食感は、どのように生み出されるかご存知ですか?今回のチーズマガジンは、2017年初夏に山形県の蔵王酪農センターで行われた酪農勉強会での製造実習の様子を交えながら、モッツァレラができるまでをご紹介します。
下準備
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あらかじめ72℃で15秒加熱殺菌した成分無調整の牛乳を、湯煎で31℃にキープします。牛乳を木べらで静かにかき混ぜながら2種類の乳酸菌を順番に加え、乳酸菌が全体にいきわたったら20分間置きます。この間に、牛乳はゆるいヨーグルトのような状態になります。
牛乳を固める
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先ほどの牛乳に凝乳酵素「レンネット」を入れ、手早くかき混ぜたらすぐに木べらで流れを止めて30分待ちます。待っている間は、カードがしっかり固まるよう振動を加えないことがポイントです。牛乳は酵素の力で固まり、チーズの元となる「カード」に変化します。
カードのカッティング
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カッティングの前に、カードがちゃんと固まっているかスプーンを入れて確認します。すくってみると、なめらかな絹ごし豆腐のような感触。うまく固まりました。
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カッティングを行います。カードを細かくすればするほど水分がより多く抜けて硬いチーズになりますが、今回は水分を適度に残して柔らかさとジューシーさを出したいので大き目にカット。この水分はホエー(乳清)で、ヨーグルトのうわずみと同じです。
加熱
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カードをチーズ作りに適した状態に調整するために、時間をかけてゆっくりと温めます。初めは、30℃をキープしながら、15分間混ぜます。下から上へ静かに持ち上げるようにして、カードを崩さないように注意します。
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次に火加減を調節しながら30℃から38℃を目指して、4分間に1℃ずつ温度を上げていきます。作業中、絶えずかき混ぜ続けますが、これはカード同士がくっつくのを防ぐためです。
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38℃に到達。温度が上がるにつれて水分がどんどん抜け出てカードが縮み、カッティング直後はやわらかな杏仁豆腐みたいだった形状は弾力のある小さな粒状になりました。38℃をキープしながら15分間混ぜて、火を止めたら蓋をして2時間置きます。カードは更に水分が抜けて酸度が下がり、よりチーズに近い状態になります。
湯捏ね・ストレッチング
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モッツァレラ作りもいよいよ佳境です。水分を取り除いた後、試しに少量のカードを熱湯の中に落としてみます。溶けてひとまとまりになったものを引っ張ってみて、伸びればスタンバイOK。
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熱湯の中でカードを捏ね始めます。熱が加わるとぐんぐんのびて、まるでつきたてのお餅のよう。「伸ばす→たたむ」作業を繰り返すと、チーズは繊維状になってあの独特な食感が生まれます。熱湯の温度は約90℃。厚手のゴム手袋をしても手が真っ赤になるほど熱く、触るだけでも一苦労ですが、仕上げまであと少し!頑張って作業を続けます。
仕上げ
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チーズの表面が、つるんとした滑らかな質感に変わってきたら仕上げの合図。お餅のように粘るチーズを引きちぎって丸めて、冷水にとります。
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十分に冷えたら水分を拭き取り、食塩をふりかけて完成!すこし不恰好になってしまいましたが、カプレーゼにして美味しくいただきました。
おわりに
モッツァレラの弾力の正体は、伸ばして幾重にも作られたチーズの繊維でした。加熱して溶かすとすばらしい糸引きを楽しめるのも、この繊維のおかげ。ちなみに、チーズを成型する時に「引きちぎる(モッツァーレ/伊)」ことがモッツァレラの語源と言われています。名は体を表すとはまさにこのことですね。食卓にモッツァレラが登場する機会があったら、是非このことを思い出して召し上がってみてください。味や食感の感じ方が以前より違って感じられるかもしれません。